材質

SUS304 ― プレス・板金部品での選び方と図面指示

SUS304は18Cr-8Niのオーステナイト系ステンレス鋼で、AISI 304、EN 1.4301、GB 06Cr19Ni10に相当します。素地のままさびにくく、曲げ・溶接も容易です。プレス加工は板厚0.5 mmのコイル材で量産実績があり、それより厚い板はレーザー切断・NC曲げ・レーザー溶接で加工します。

ステンレス鋼のコイル

加工能力

規格JIS G 4305(冷間圧延鋼板・鋼帯)、JIS G 4313(ばね用鋼帯)
相当材AISI 304、UNS S30400、EN 1.4301、GB 06Cr19Ni10
量産実績プレス用 0.5 mmコイル材、板金用 板材
対応工程プレス加工、レーザー切断、NC曲げ、レーザー溶接

SUS304を中国で手配するときに確認すること

図面の「SUS304」は、中国ではGB 06Cr19Ni10として流通しています。化学成分はほぼ同じで、一般的な板厚・仕上げのコイル材や板材は容易に手に入ります。

大切なのは、届いた材料が規格どおりかを確認できることです。材料証明書(ミルシート)を提出しますので、成分と機械的性質を図面の規格値と照合してください。ばね性が必要な部品では、鋼種名に加えて調質の指定が欠かせません(後述)。

主要元素のみ。全成分の規格値は最新の規格とミルシートでご確認ください。
元素JIS G 4305 の範囲(%)
炭素(C)≤ 0.08
クロム(Cr)18.00–20.00
ニッケル(Ni)8.00–10.50
マンガン(Mn)≤ 2.00
ケイ素(Si)≤ 1.00

代表的な機械的・物理的特性

焼なまし材の代表値です。設計の概算にお使いください。実際の値はミルシートに従います。
特性代表値
引張強さ(焼なまし、JIS G 4305)≥ 520 N/mm²
0.2%耐力(焼なまし)≥ 205 N/mm²
伸び(焼なまし)≥ 40%
硬さ(焼なまし)≤ 200 HV
密度約7.93 g/cm³
縦弾性係数約193 GPa
熱伝導率約16 W/m·K

調質の選び方 ― 焼なまし材か、ばね用か

ブラケット、カバー、深い曲げのある部品には、柔らかく曲げやすい焼なまし材が向いています。

クリップ、ばね接点、薄いカバーなど形を保つ必要がある部品には、JIS G 4313のばね用鋼帯(SUS304-CSP)を使います。調質は1/2H、3/4H、Hが一般的です。硬いほどばね力は上がりますが、曲げ半径を大きくとる必要があり、圧延方向に沿った曲げで割れやすくなります。

図面に「SUS304」としか書かれていない場合、通常は焼なまし材でお見積りします。ばね性が必要なら、調質または硬さを必ずご記入ください。

SUS304部品の設計ルール

  • 内側曲げ半径は焼なまし材で約1 t以上。1/2H以上ではさらに大きくします
  • スプリングバックはSPCCより大きくなります。オーバーベンドで補正し、初品で確認します
  • 抜き穴径は約1.5 t以上を目安に。パンチの欠けを防ぎます
  • 硬い調質では、きつい曲げを圧延方向と直交させます。難しい場合は材料取り(ストリップレイアウト)をご相談ください
  • 意匠面をご指示ください。ヘアラインや光沢仕上げは傷が付きやすいため、保護フィルム付きで納品します

SUS304は磁石に付くか

焼なまし状態のSUS304は、ほぼ非磁性です。ただし硬質材への圧延、プレス、曲げなどの冷間加工で組織の一部がマルテンサイトに変わり、加工部が弱い磁性を帯びることがあります。

硬い調質や加工度の高い形状ほど磁性が出やすくなります。非磁性が必要な部品は、図面にその旨をご記入ください。

表面仕上げと耐食性

板材の仕上げは2B(つや消し)、BA(光輝焼鈍)、No.4・HL(研磨目)が一般的です。溶接や強い研削をした箇所は、酸洗・不動態化処理で耐食性を戻します。表面処理は認定済みの協力会社で手配します。

沿岸部や融雪剤のかかる場所など、塩化物の多い環境ではSUS316をご検討ください。

図面での指示例

  • 鋼種と規格:「SUS304(JIS G 4305)」「SUS304-CSP 1/2H(JIS G 4313)」など
  • 板厚と公差
  • 表面仕上げ(2B、BA、No.4、HL)と意匠面
  • 不動態化処理の要否
  • 非磁性が必要かどうか

よくある質問

SUS304の中国規格・海外規格の相当材は?

中国はGB 06Cr19Ni10、米国はAISI 304(UNS S30400)、欧州はEN 1.4301です。化学成分はほぼ一致します。その他の材質は相当材対照表をご覧ください。

SUS304ははんだ付けできますか?

できますが、活性の強いフラックスが必要で、洋白やすずめっき鋼板より難しくなります。はんだ実装するシールドケースには、通常C7701(洋白)をおすすめします。

SUS304にめっきは必要ですか?

通常は不要です。素地、ヘアライン、不動態化処理で使えます。めっきが必要なのは、接点やはんだ付け性に特別な要求がある場合です。

SUS304のプレス加工は板厚何mmまで対応できますか?

プレスの対応範囲は0.15~1.2 mmで、SUS304は0.5 mmのコイル材で量産実績があります。これより厚い板はレーザー切断と曲げで加工します。

図面をお送りください。1 営業日以内にお見積りします。

年間数量と、図面でいちばん厳しい公差を添えてください。金型費と単価を一度でご案内できます。