調達ガイド

中国のプレスメーカーを見極めるチェックリスト

中国のプレスメーカーは、会社、工場、部品の順に確認します。営業執照とISO 9001認証を公的データベース(gsxt.gov.cn、cx.cnca.cn)で照合し、プレス機・金型・測定機器をライブ映像か現地で確かめます。量産代金を払う前に、寸法成績書とミルシートを付けた初品を承認します。

機械プレスが並ぶプレス工場

中国からプレス部品を調達するときの本当のリスク

トラブルの多くは詐欺ではなく、「思っていたのと違う」というずれです。メーカーだと思っていたら商社だった。認証書が別の工場のものだった。金型が想定より安い仕様で作られていた。サンプルだけ丁寧に作られ、量産品は違った。どれも、発注前に確認できます。

以下のチェックリストは、買い手として当社が確認する順番に並べています。会社、認証、工場、工程管理、初品、取引条件、出荷の順です。

会社の実在と輸出の可否を確かめる

  • 営業執照(営業許可証)の写しを依頼します。中国語の会社名、18桁の統一社会信用コード、法定代表者、登録資本金、住所、経営範囲が記載されています。
  • そのコードを「国家企業信用信息公示系統」(gsxt.gov.cn)で検索し、会社名、状態(存続)、住所、経営範囲が提出された内容と一致するか確認します。
  • メーカーと説明を受けたなら、経営範囲に販売だけでなく製造が含まれているか確認します。ここが、商社経由の取引と見分ける最初のポイントです。
  • 自社名義で輸出するのか、代理店を通すのかを確認します。自社で輸出権を持つメーカーは輸出書類を自ら発行できます。代理店経由の場合、B/Lの荷送人は別の会社になります。
  • 契約書、インボイス、振込先口座の名義が、すべて営業執照と一致しているか確認します。名義の異なる口座への支払いは要注意のサインです。

ISO 9001認証書を確認する

認証書の写しを受け取ったら、中国国家認証認可監督管理委員会(CNCA)のデータベース(cx.cnca.cn)でご自身で検索してください。中国の認定機関が発行した認証書が掲載されており、会社名か認証書番号で検索できます。

確認するのは3点です。有効であること(一時停止・取消されていない)、適用範囲が購入する製品を含むこと(例:「金属プレス部品の製造」)、住所が訪問する工場と一致すること。グループ会社や別の拠点の認証書では、御社の部品は対象外です。

自動車向けの品質マネジメントが必要なら、IATF 16949を明示して求めてください。ISO 9001とは別物です。

工場監査・ビデオ監査で見るべきところ

理想は現地監査です。最初の段階ならライブ映像での工場見学も有効ですが、録画ではなく生中継で、台本なしに、カメラの向きをこちらから指示できることが条件です。以下を見せてもらいましょう。

項目確認するもの質問の例
プレス機台数、能力の範囲、メーカー、状態、送り装置とコイルライン当社の部品はどのプレスで流しますか?必要な能力は?
金型社内の金型工場、または協力先の名前。金型の保管と表示金型の設計・製作は誰が?保全は誰が?所有者は誰ですか?
測定機器画像測定機、ハイトゲージ、ノギス、マイクロメーター、硬度計重要寸法はどのように、どの頻度で測っていますか?
抜取検査受入・出荷検査のAQL抜取計画が文書化されているかどのAQL水準を適用し、顧客ごとに取り決めていますか?
校正測定器・計器の日付入り校正ラベルと校正記録当社部品を測る測定器の校正記録を見せてください
材料管理コイル材・板材に表示があり、ミルシートまでたどれるか完成品のロットから、元のコイルまでどう遡りますか?
不適合品隔離場所の表示、不良と是正処置の記録最近の是正処置報告書を見せてください

サンプル・初品承認の進め方

  • 初品に含める内容を書面で取り決めます。個数、図面の改訂番号、測定する寸法です。
  • 図面上の全寸法について、測定値と合否を記載した寸法成績書(FAIレポートとも呼ばれます)を求めます。
  • 使用材料のミルシート(材料証明書)を求めます。材質、化学成分、機械的性質が記載されたものです。
  • めっき・塗装品は、何を検査するのかを確認します。膜厚、被覆状態、密着性が一般的です。
  • 承認前に、自社または第三者機関でサンプルを測定します。
  • 承認したサンプルは限度見本として保管し、量産ロットと比較します。
  • 別途取り決めた場合を除き、サンプルが試作工法ではなく、量産用の金型と工程で作られたことを確認します。

図面の保護と、技術的なやりとり

図面一式を渡す前に、秘密保持契約を結びます。中国向けには、一般的な英文NDAよりも、中国法に基づき中国の裁判所で執行できるNNN契約(非開示・非使用・非迂回)のほうが実効性があります。

日本語や英語での窓口があるかどうかに加えて、図面を読み、技術的な質問に直接答えられるエンジニアの窓口を一人決めておくことが大切です。見積り段階で技術的な回答が遅い、あいまいな場合、発注後はたいてい悪化します。変更はすべて、図面の改訂番号とともに書面で確認します。

リスクを抑える支払条件

よくある形は、金型と材料のための前払金を支払い、残金は検査後、または船積書類と引き換えに支払う方法です。新しい取引先との初回発注で、全額前払いは避けてください。支払いは、金型完成の写真、サンプルの承認、出荷前検査の合格など、確認できる節目に結び付けます。

金型の所有権、保全、金型を移管する権利を契約書に明記します。金型費は通常、買い手が負担するもので、所有権も買い手にあるべきです。

梱包と輸送

  • 梱包仕様を指定します。外観部品は段間に仕切り、裸の鋼材は防錆油かVCI袋、カートン1箱の重量上限も決めます。
  • インコタームズ(FOB、CIF、DAPなど)と、輸送の手配をどちらが行うかを取り決めます。
  • 正味重量・総重量とカートン数を記載したパッキングリストを求めます。
  • 初回発注では、第三者機関による出荷前検査も検討します。

注意すべきサイン

サインなぜ問題か対応
振込先口座の名義が契約相手の会社と違う詐欺や、開示されていない仲介業者の典型的なサイン名義が営業執照と一致するまで支払わない
ISO認証書がcx.cnca.cnで見つからない、適用範囲や住所が違う部品を作る工場が認証の対象外の可能性正しい認証書を求めるか、認証なしとして扱う
ライブ映像での工場見学を断る自社工場を持っていない可能性ライブ見学か現地監査を必ず求める
他社より大幅に安く、理由の説明がない板厚が薄い、金型鋼のグレードが低い、検査の省略などが多いコスト内訳と材料仕様を求める
寸法成績書やミルシートの提出がない図面どおりである根拠がない両方の提出を支払条件にする
回答がいつも営業からで、技術者が出てこない発注後に技術的な質問が止まる技術者との打ち合わせを求める
金型の所有権があいまい金型を移管できなくなるおそれ所有権を契約書に明記する

Sierxiがお見せできるもの

当社を評価される場合、営業執照と輸出許可、cx.cnca.cnで照合いただけるISO 9001:2015認証書、設備一覧(60〜250 Tのプレス機13台、ファイバーレーザー切断、CNC曲げ、レーザー溶接)、測定機器、寸法成績書とミルシートのサンプルをご提示できます。ご希望があればライブ映像での工場見学にも対応します。

金型製作と表面処理は協力先で行っています。御社の部品でどの工程が該当するかは、事前にお伝えします。

よくある質問

中国の取引先がメーカーか商社か、どう見分けますか?

営業執照とgsxt.gov.cnで経営範囲を確認し、こちらがカメラの向きを指示できるライブ映像の工場見学を依頼し、ISO認証書の住所が映像で見た工場と一致するか確かめます。

中国のISO 9001認証書はどこで確認できますか?

CNCAの認証データベース(cx.cnca.cn)です。会社名か認証書番号で検索し、有効性、適用範囲、住所を確認します。

寸法成績書(初品検査報告書)とは何ですか?

図面上のすべての寸法について、サンプル部品の測定値と合否を一覧にした報告書です。量産承認の根拠になります。

ビデオ監査だけで十分ですか?

多くの初回発注では、台本なしのライブ映像見学と、きちんとした初品承認で始めるのが現実的です。重要部品や大きな案件では、現地監査や第三者監査の費用をかける価値があります。

新規の取引先とはどんな支払条件が一般的ですか?

金型と材料分を前払いし、残金は検査後、または船積書類と引き換えに支払う形です。全額前払いは避けてください。

プレス金型の所有者は誰にすべきですか?

金型費を支払った買い手です。所有権、保全、金型を移管する権利を契約書に明記してください。

図面をお送りください。1 営業日以内にお見積りします。

年間数量と、図面でいちばん厳しい公差を添えてください。金型費と単価を一度でご案内できます。