材質

SPCC ― ブラケット・筐体の冷間圧延鋼板の選び方

SPCCはJIS G 3141の一般用冷間圧延鋼板で、ASTM A1008 CS、EN DC01に相当します。安価で平坦度が良く、切断・曲げ・溶接も容易です。ただし、めっきや塗装をしないとさびます。プレス加工は板厚1.0 mmのコイル材で量産実績があり、板材からはブラケットや筐体を製作します。

冷間圧延鋼板のコイル

加工能力

規格JIS G 3141
相当材ASTM A1008 CS、EN DC01(EN 10130)、GB SPCC / DC01
量産実績プレス用 1.0 mmコイル材、板金用 板材
表面処理必要:めっき、塗装、粉体塗装(協力会社にて)

SPCCとは

冷間圧延で板厚を精度よく仕上げ、焼なましをした低炭素鋼板です。安価で、プレスやベンダーでの挙動が読みやすいため、電子機器や装置のブラケット、シャーシ、内部パネル、塗装筐体の標準材になっています。中国でもSPCC/DC01の名称でそのまま流通しています。

より深い成形には、同じ規格のSPCD(絞り用)やSPCE(深絞り用)を使います。SPCCでも浅い絞りやエンボスはできますが、深絞りのカップや筐体ではSPCD・SPCE(EN DC03/DC04)のほうが割れにくくなります。

代表特性

一般に公表されている代表値です。伸びの規格値は注文時に指定した場合のみ適用されます。実際の値はミルシートに従います。
特性代表値
引張強さ(JIS G 3141、標準調質)≥ 270 N/mm²
炭素量≤ 0.15%
密度約7.85 g/cm³
縦弾性係数約205 GPa
磁性あり(強磁性)

SPCC-SD、SPCC-1/2などの記号の見方

たとえばSPCC-SDは「標準調質・ダル仕上げ」で、最も一般的な指定です。
記号意味
A焼なまし
S標準調質(調質圧延)― 標準
8、4、2、11/8硬質、1/4硬質、1/2硬質、硬質
Dダル仕上げ
Bブライト仕上げ

さびを防ぐ表面処理の選び方

めっき、塗装、粉体塗装は認定済みの協力会社で行います。塗装品は戻り時に塗装範囲、膜厚、クロスカット(碁盤目)密着性を検査します。
表面処理主な用途備考
亜鉛めっき(クロメートフリー化成処理)内部ブラケット、シャーシ薄く、導電性があり低コスト
ニッケルめっき外観や導電性が必要なブラケットコストは高め
すずめっきはんだ付けするシールドやタブはんだ実装部品向け
粉体塗装または塗装筐体、外から見えるパネル保護層が厚い。色はRAL指定
電気亜鉛めっき鋼板(SECC)めっき済み材料での代替製鉄所でめっき済み。切断端面は素地

SPCC部品の設計ルール

  • 標準調質なら、内側曲げ半径約0.5~1 tで問題なく曲がります
  • 穴径は約1 t以上。曲げ線からは「2 t+曲げ半径」以上離します
  • はめ合い部は塗膜厚を見込みます。粉体塗装はめっきよりかなり厚くなります
  • めっきは成形後に行うため、タップ穴は再タップやマスキングが必要になる場合があります。ねじゲージを通す穴をご指示ください
  • 外から見えて、さびが問題になる部品は、SPCC+表面処理の合計コストをSGCCやSUS304と比べてください

SPCC・SECC・SGCCのどれを選ぶか

SPCCは材料費が最も安い反面、表面処理が必要です。SECC(電気亜鉛めっき鋼板)は薄く滑らかな亜鉛層があり、パソコンのシャーシによく使われます。SGCC(溶融亜鉛めっき鋼板)は亜鉛層が厚く、キャビネットや屋外部品向きです。

使用環境、外観、あとで塗装するかどうかで選んでください。迷う場合は、お見積りの際に図面と使用環境をあわせてご相談ください。

粉体塗装した鋼板製筐体

図面での指示例

  • 鋼種・調質・仕上げ・規格:「SPCC-SD(JIS G 3141)」「DC01(EN 10130)」など
  • 板厚と公差
  • 表面処理:めっきの種類と膜厚、または粉体塗装の色(RAL)・テクスチャー・膜厚
  • 塗装しないねじ穴や接触部(マスキング範囲)
  • SPCDやSPCEが必要な成形かどうか

よくある質問

SPCCの海外規格・中国規格の相当材は?

欧州はEN DC01、米国はASTM A1008 CS、中国はSPCC/DC01です。成分と機械的性質の規格値はわずかに異なるため、部品に必要な特性は図面でご指示ください。

SPCCはさびますか?

さびます。SPCCは普通鋼のため、めっき・塗装・粉体塗装のいずれかが必要です。

SPCCは溶接できますか?

できます。レーザー溶接を含め溶接は容易で、通常は素地で溶接してから表面処理を行います。

シャーシはSPCCとSECCのどちらが安いですか?

SECCは材料費がやや高いものの、めっき済みのため後めっきが不要な場合が多くあります。粉体塗装や塗装をする部品なら、SPCCのほうが向いています。

SPCCのプレス加工は板厚何mmまで対応できますか?

プレスの対応範囲は0.15~1.2 mmで、SPCCは1.0 mmのコイル材で量産実績があります。板金では板厚20 mmまでレーザー切断できます。

図面をお送りください。1 営業日以内にお見積りします。

年間数量と、図面でいちばん厳しい公差を添えてください。金型費と単価を一度でご案内できます。