精密プレス

順送金型によるプレス加工

順送金型プレスは、コイル材を1つの金型の中で工程ごとに送り、1ストロークで完成品を1個つくる工法です。サーボコイルフィーダー付きの60〜250 T高速プレス機で、板厚0.15〜1.2 mmの条材を加工します。年間おおよそ1万個以上の小型部品なら、最も安い工法です。

順送金型を稼働中のコイル供給式高速プレス機

加工能力

プレス機60–250 T 高速プレス、コイル供給
最大ボルスタ寸法2800 × 920 mm
材料供給レベラー付きサーボフィーダー
板厚0.15–1.2 mm(条材)
公差重要部位 ±0.02 mm
適した部品小型部品、年間数量の多い量産品

順送金型の仕組み

コイル材はレベラーで矯正され、1ストロークごとに一定のピッチで送られます。最初の工程で抜いたパイロット穴にパイロットピンが入り、材料をいつも同じ位置に合わせます。各工程は穴抜き、切欠き、曲げ、成形、コイニング、エンボスなどを1つずつ受け持ちます。最終工程で部品をキャリアから切り離すか、リール納品なら連鎖のまま残します。

すべての加工を1つの金型・1回の段取りで行うため、部品ごとのばらつきが小さく、ハンドリングの手間もほぼかかりません。

コイルフィーダー付きの順送金型プレスライン

順送金型と単発型、どちらが安いか

年間数千個に満たない場合は、金型の要らないレーザー切断とNC曲げのほうが、どちらの金型よりも安くなるのが普通です。

順送金型単発型(工程型)
金型費高い(複雑な金型1型)1型あたりは安いが複数型が必要
部品単価最も安い高い(工程間のハンドリングが発生)
部品サイズ小型~中型中型~大型
主な数量年間数量の多い量産少量~中量
リール供給可能不可

順送金型に向く部品

  • 基板実装用のシールドケースとフレーム
  • コネクタ端子、接点、圧着端子(バラまたはリール巻き)
  • 板ばねクリップ、アース用フィンガー、電池接点
  • 小型ブラケット、キーボードプレート、取付板
  • 絞り工程が金型内に収まる小型の絞りカップ・シェル(図面ごとに確認)
  • 設計が固まり、年間需要が続く、板厚0.15〜1.2 mmの条材の小型部品全般

材料費を左右するストリップレイアウト

ストリップレイアウトで、材料費、金型の長さ、工程数が決まります。部品はサイドキャリア、センターキャリア、またはその両方で保持します。小型部品なら、斜め配置や2列取りで材料を節約できます。材料費の比率が高い銅合金では、プレス速度よりもレイアウトのほうが単価に効くこともよくあります。

圧延方向もレイアウトで決まります。小さな曲げ半径を圧延方向と直交させたい場合は、図面にご記載ください。

必要なプレス能力(トン数)の目安

抜き・穴抜き荷重は「せん断長さの合計 × 板厚 × 材料のせん断強さ」で概算します。これに成形、コイニング、ストリッパーばねの荷重を足し、プレス機に余裕をもたせます。金型の長さと工程数がボルスタに収まることも条件です。

プレス機は60〜250 T、ボルスタは最大2800 × 920 mmです。板厚0.15〜1.2 mmの条材でつくる電子機器・産業機器の小型部品なら、ほとんどに対応できます。

金型費と単価を下げる設計のコツ

  • 穴径は板厚以上を目安に。ステンレスはさらに大きくしてください
  • キャリアから切り離した後に成形が必要な形状は避けてください。二次加工が増えます
  • キャリアからの切断部に、小さなタブや切断跡が残ることを許容してください
  • 曲げ逃げを設け、曲げ線の近くに穴を置かないでください(目安は約2 t+曲げ半径)
  • ±0.02 mmは機能上必要な箇所だけに。一般公差を緩めると、金型費とメンテナンス費を抑えられます
  • リール納品の場合は、金型製作前にキャリアの仕様をお使いの組立設備と取り決めてください

金型の製作・所有権・メンテナンス

順送金型は、当社技術部門の設計審査を経て、協力金型メーカーが製作します。金型費と製作期間は工程数、部品サイズ、材質で変わるため、図面ごとにお見積りします。金型費のお支払い後、金型はお客様の所有となり、リピート注文に備えて当社工場で保管・メンテナンスします。

新規金型の初品は、量産前に画像測定機で全寸法を確認します。量産ロットはAQL抜取検査、重要部位は自動外観検査(AOI)で検査します。

よくある質問

順送金型は何個くらいから元が取れますか?

小型部品で年間約1万個が目安です。お見積りの際に、レーザー切断・曲げ加工との損益分岐点を確認します。

順送金型の製作期間はどのくらいですか?

工程数と部品の複雑さで変わるため、案件ごとにお見積りで確認します。

金型は誰の所有になりますか?

金型費のお支払い後はお客様の所有です。リピート注文に備えて当社で保管・メンテナンスします。

順送金型で加工できる板厚は?

量産での対応範囲は、コイル供給の条材で0.15〜1.2 mmです。

連鎖(キャリア付き)のまま納品できますか?

はい。自動組立用にリール巻きで納品できます。キャリアとリールの詳細は案件ごとに取り決めます。

順送金型の部品は何個から注文できますか?

1,000個からです。ただし順送金型の効果が大きいのは、年間数量がはるかに多い場合です。

図面をお送りください。1 営業日以内にお見積りします。

年間数量と、図面でいちばん厳しい公差を添えてください。金型費と単価を一度でご案内できます。